【特集】「活〆ラベル」鮮魚出荷がスタートしました!
萩市で「活〆(いけじめ)ラベル」鮮魚出荷がスタートしました!
「萩の魚のおいしさをもっと伝えたい!!」と漁業者と連携して、事業に取り組む萩市水産課の椙本 学(すぎもと まなぶ)さんにお話しを伺いました。
「活〆ラベル」鮮魚出荷とは、どのような取り組みですか?
山口県漁業協同組合はぎ統括支店と萩市が連携して、外部専門家の指導による船上などでの血抜き・活締めなど魚の鮮度保持技術の講習会を実施し、外部専門家による魚の鮮度保持処理技術の審査に合格した漁業者に「活〆ラベル」を提供することで、萩産鮮魚の付加価値向上に取り組むものです。
この取り組みのきっかけは?
持続可能な萩市の水産業の実現を目指し、市内外の漁業関係者と意見交換をする中で、活締めなど高鮮度出荷は、他地域も取り組んでおり、豊洲市場ではスタンダードとなりつつあるという話があったことから、全国の産地に負けないようにと、今年度から計画しました。
豊洲市場の様子
活締めの講習会は、どのようなものだったのでしょうか?
7月から11月にかけて3回、ミシュランシェフなどにも魚を納めておられる外部専門家を東京からお招きし、「萩の魚のポテンシャルを最大限に引き出し、ファンを増やそう」と、鮮度・活締めの知識や、首都圏飲食店のニーズの他、魚の脳の位置、締めるときの角度と深さや血抜き方法の技術など、魚の旨味と売上を上げるための講習会を行いました。
活〆ラベル技術者の認定までには、どのような審査があるのでしょうか?
まず、豊洲市場の大卸の方と、講習会の講師でもあった豊洲市場の仲卸の方の2名に審査員をお引き受けいただきました。産地ではなく、消費者により近いところで審査することが重要と考え、審査用の鮮魚を実際に消費地市場の一つである豊洲市場に送り、魚の荷姿と実際に魚を開き、その状態を審査していただきました。
次に、萩地方卸売市場の市場長、山口はぎ魚市場仲買人組合の組合長、山口県飲食業生活衛生同業組合萩支部の支部長の3名に、その審査結果を確認の上、認定していただきました。
活〆ラベルには、松陰先生と高杉晋作のイラストが入っていますね?
活締め技術認定審査を引き受けていただいたお二人にお力添えいただき、豊洲市場や飲食店などマーケット側の視点を大切にして作成しました。
種類は、活〆ラベルは通常版と、魚のキロ数と漁獲時期の認定基準を定めた特選版の2種類で、侍が描かれているものは他にないとの意見から、デザインを萩らしく、特選版は吉田松陰先生、通常版は高杉晋作を描いたものにしました。さらに将来的な海外への輸出も見据え「IKEJIME」や「HAGI」といった英語表記も入れています。さらに、活〆ラベルの魚を仕入れた飲食店など声を漁業者にフィードバックするためQRコードから読み取れるアンケートを実施しています。
また今後は、技術の更なる向上のため、活締め・血抜き・冷やし込み、さらに梱包までのガイドラインの作成や、活締め技術認定者の活動状況の紹介など、この取り組みの認知度向上に努めていきたいと考えています。
左)吉田松陰先生が描かれた特選版
右)高杉晋作が描かれた通常版
今後の目標は?
一番の目標は「萩の活〆ラベルが貼ってある魚が欲しい」と飲食店などから指名されるようになることです。
そのために、まずは、萩市場内にこの「活〆ラベル」が貼られて出荷できる活締め技術認定者を増やすため、引き続き講習会を行います。ただ、ラベルに対する信頼を得ることがさらに大事なので、活締め技術の維持・向上への取組も併せて行います。
この事業を始めた当初、若手漁業者さんと話をする中で「客観的に見て『良い』と評価されるアマダイを世に送り出したい」という言葉がありました。また外部専門家からは、鮮度が命とも言える魚にとって「時間は価値を下げるもの」と思われがちですが、最初の処置次第で、時間を追うごとに旨味に変わるという「時間は価値を上げるもの」という考え方を教えていただきました。
萩は歴史の町ですが、日本海に面し、年間を通して、旬の地魚が食べられる町でもあります。意欲ある漁業者と一緒に、鮮度の良いおいしい萩のお魚を消費者に届けることで、もっと多くの方に萩を知っていただければと思います。