【特集】萩のカフェ「ギャラリー 藍場川(あいばがわ)の家」
藍場川ほとりにある紅茶専門店、Cafe Gallery「藍場川の家」。オーナーの室田佳子さんにお話しを伺いました。
ご出身はどちらですか?
「藍場川の家」の隣が実家となります。
私が育った昭和30年代は家長制度が残っている時代でした。祖父母、父母、弟の6人家族。お風呂に入る時も食事の時も祖父が一番で、家族の中でも規律がありました。今の核家族では考えられない事です。母は長男の嫁の立場で苦労もあったと思います。
小さい頃は、子供ながら家族を揉ませない様に自分の感情を出さない子供だったと思います。その一方、祖母が私の事を猫可愛がりしてくれていました。祖母が作るご飯の味は今の私の味です。お稽古事も日本舞踊やピアノなど、今になると「全て人生の宝になってるな!」と何かにつけて思います。
お隣には画家の佐伯信夫さんのアトリエがあり、小さい頃から画板を持ってよく遊びに行っていました。懐かしい昔です。このアトリエの場所に、現在、藍場川の家があります。
最近気がついたのですが、この子供の頃の体験や懐かしさが、今の藍場川の家のコンセプトに繋がっている気がします。
お店のコンセプトを教えてください。
「なんとなく懐かしい、非日常の中でゆったりする時間を楽しめる場所ができたらな」と思い、萩出身の建築家、豊田隆則さんに設計をお願いしました。お陰様でお店のデッキの横に流れる藍場川と樹齢250年のもみの木をシンボルツリーとし、景色の一部になるような建物が誕生しました。
佐伯先生のアトリエがあったという事もあり、「何かが生まれるエネルギーのある場所にしたい」と、2階はギャラリーにしました。プロはもちろん、一般の方の趣味の作品展も行っており、作品を通してその人の人生も感じる事ができて大変興味深いです。
1階のカフェスペースには、1人でいらしても本を読んだりぼっーと景色を楽しめるカウンター席、ご家族で来店されても8人くらいは座れる大テーブル席、そして赤ちゃん連れやカップルの方々にも大人気なソファ席もあります。
ケーキは季節限定を含めると5〜6種類。全て手作りです。コーヒーは藍場川の家オリジナルブレンド1種類ですが、香り高く人気です。紅茶は5種類で、その中でもダージリンは季節ごとの新茶が楽しめます。
ケーキや飲み物は、季節にとれる果物や地元にあるものを使い、オリジナリティが出るように考えています。
観光客の方からも、「なんとなく懐かしい味がする」、「萩の季節の物が食べられて美味しかった」などと喜ばれています。
コンサートやライブもされるそうですね。
1階にはグランドピアノがあります。私が30年間東京で音楽教室を主催していた事もあり、2009年に藍場川の家がオープンしてから、有名ピアニストのコンサートやオペラコンサート、シャンソンライブ、チェンバロコンサートを開催しています。ジャズライブポップスからアコースティック、アカペラなどのシンガーやグループ、その他多数の素晴らしいアーティスト達が訪れてくださっています。
今後についての思いをお聞かせください。
オープンして13年目になりました。藍場川の家から望む日本庭園はオープンガーデンの1箇所で、藍場川の水を引き入れた回遊式庭園が、藍場川と共に300年そこにあります。古き良きものは先人達が現代に残す「想い」、そしてその想いを残すための保存、現在生きている人の「今」を融合させ子供達に伝えていくことが大事だと思います。
住んでいると当たり前の場所でも萩を出て故郷を思い出す時、それぞれの故郷がある事が心の支えになり、強くなれると最近つくづく思います。
藍場川の家を通して、様々な人達が様々な形で関わる。楽しかった、美味しかった、感動した、癒された、懐かしかった、と感じる。ここは、「人が集まる場所」。
店舗情報については
⇒食べる/Cafe Gallery 藍場川の家をご覧ください。