【特集】今が旬! 萩の夏みかんと甘夏! マーマレードでも美味しく!

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 甘酸っぱい香りと爽やかな酸味の初夏の果実

甘酸っぱい香りを含み、さっぱりとした酸味が美味しい夏みかん。夏みかんは、もともとゆずの代用として利用されていましたが、幕末近くにたまたま夏に収穫したところ、美味であったため、その後は「ダイダイ」から「ナツダイダイ」と呼ばれ、夏に食べられるようになったといわれています。

甘夏は、外観は夏みかんと変わりませんが、夏みかんに比べ、着色が早く、酸が早期に減酸するため、甘みが強いのが特徴です。甘夏は、1月中旬頃から収穫が始まり、倉庫などで寝かせて酸を抜き熟成させたのち出荷されます。美味しくなるのは3月から5月頃まで、春から初夏が旬の萩の特産品となっています。

 

夏みかんと甘夏の歴史

萩は長年長州藩の政治経済の中心地として栄えた城下町ですが、文久3年(1863年)に藩主が萩から山口に移ったため、藩経済に依存していた萩の町民は侍の流出に大打撃を受けることとなりました。更に明治政府樹立後、士族の給禄奉還が、萩に残された武士の苦境に追い討ちをかけ、その不満で明治9年の萩の乱勃発の要因となっています。

丁度この時、新政府の要職を歴任した小幡 高政(おばた たかまさ)が萩に帰郷し、困窮した士族を救済するため廃屋同然となった広大な侍屋敷の土地に夏橙を植栽しようと、明治9年に種を撒き、翌年に苗木を接木し、明治11年に苗木を士族達に配布。明治22年には、夏みかんの果実と苗木の収益が当時の萩町の財政を追い越すまでになり、その後萩の町全体に夏みかん畑が広がりました。

甘夏は昭和10年頃、大分県津久見市の川野 豊(かわの ゆたか)氏の園から発見された夏みかんの枝変わり種です。正式な名称は「川野夏橙(かわのなつだいだい)」で、「甘夏橙(あまなつだいだい)」、「甘夏みかん」などとも呼ばれています。萩市大井地区では、冬期の比較的温暖な気候を活かし、昭和40年代前半から甘夏の栽培が始まっています。

 

 

 まちじゅうに広がる甘くさわやかな香り

大正15年5月、当時の皇太子、後の昭和天皇が萩にお見えになった時、「この町には香水がまいてあるのか」といわれたほど、夏みかんの栽培が最盛期で、まさに萩を代表する夏みかんの香りのおもてなしでした。この夏みかんの香りが、平成13年に全国の「かおり風景100選」に選定されています。5月上旬~中旬にかけては、夏みかんの白い可憐な花が咲き、歩いているとふわっと甘くさわやかな香りに包まれます。

 

 

 マーマレードでも美味しく

日本で最初に夏みかんマーマレードを作ったのは、福沢 諭吉(ふくざわ ゆきち)です。明治26年(1893年)のことで、福沢 諭吉のもとへ送られてきた夏みかんを、おいしく食べ、皮を利用して「マルマレット(マーマレード)」を作った旨が、萩藩医家出身の松岡 勇記(まつおか ゆうき)あての礼状に記されています。パンやプレーンヨーグルトと一緒に食べると、さわやかな食感が楽しめます。

 

 夏みかんマーマレードの作り方

材料
夏みかん: 2個
砂 糖 : 夏みかんの皮の8~9割

①夏みかんをたわしでしっかり洗います。
②十文字に切り込みを入れて剥き、さらに2等分に切ります。夏みかん1個で8切れ取ります。
③皮を1~2mm幅に刻みます。
④刻んだ皮を鍋で煮ます。沸騰したら1度差し水をして柔らかくなるまで煮ます。
⑤苦みを抜くために水に浸します。2~3回水を替えながら浸し、最後は皮を搾り水気を切って分量を量り、それに合わせて砂糖の分量を量ります。
⑥果肉の入った袋の皮を剥き、固い皮を1カップの沸騰した湯の中で15分ほど煮た後、水分だけ残して皮を捨てます。
⑦茹でた皮のチップと⑤で量った砂糖と⑥の水分を鍋に入れ、中火で30~40分程度、とろみが出るまで煮ます。(砂糖は3回くらいに分けて入れます。)

マーマレードの他にも、夏みかん一個に中身を抜き取り、中にようかんを流し込む丸漬けや、ゼリー、ジュースなども美味しく、人気のお土産となっています。

景観を楽しむだけではなく、花の香りを感じ、味わうことができる、萩の夏みかんをぜひご堪能ください!

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