【特集】料理の味を引き立てる万能の果実「長門ゆずきち」のご紹介
「長門ゆずきち」は、萩市田万川(たまがわ)地域で、250年ほど前から庭先果樹として栽培されていたといわれています。樹の大きさがあまり高くならず収穫がしやすく、寒さや害虫に強いことから産地が拡大され、現在では山口県北浦地方の特産品として定着しています。
1967年、柑橘類研究の第一人者であった田中諭一郎(ゆいちろう)博士がDNA鑑定したところ、従来から柚吉(ゆずきち)/宇樹橘(うじゅきつ)と呼ばれていたものとは別の品種であることが確認されました。それを機に、田中博士は「長門の国で生まれて、ユズより優れているという意味で「長門ゆずきち」と命名しよう」と提案。あらためて「長門ゆずきち」として、商業栽培が奨励されることになりました。
2007年には、地域ブランドとしての定着を目指して、産地の3農協(長門大津農協、下関農協、あぶらんど萩農協)が共同で「地域団体商標」を登録し、産地間での連携体制を整えています。
カボスやスダチの仲間で、果実の大きさはゴルフボールよりやや大きく、青々とした美しい緑色をしています。種が少なく、果汁がたっぷり絞れて、柚子とスダチをブレンドしたような爽やかな香りとまろやかな酸味が特徴です。
海の幸に恵まれた北浦地域において、魚料理とともに伝えられてきました。昔から醤油に「長門ゆずきち」の果汁を加えて刺身を食べる習慣があり、「ゆずきちがないとメシが食えん!」と言われるほど、地元の人に愛されてきました。
焼き魚・刺身・唐揚げなどにかけていただくことで、料理の味と香りを一層引き立てます。また、焼酎や炭酸水に入れるなど、いつものお酒をひと味変えて楽しめます。多種多様に使用用途があるため、冷蔵庫に常備しておきたい万能の果実です。
収穫時期は、8月中旬から10月中旬まで。夏から秋にかけて、食卓に爽やかな香りを運びます。
「長門ゆずきち」で、いつもの料理にひと味効かせてみてはいかがでしょうか。