萩のつくり手 <第15回>
小学校の校舎で食べる、伊良尾(いらお)山湧き水と弥富(やどみ)産そば粉でつくる絶品手打ち10割そば 「そば処 龍の里やどみ」 奥山 明(おくやま あきら)さん
約24年前から年に1度、毎年10月に開催されてきた『手作りそばの花まつり』でしか食べられなかった竜のひげと呼ばれた幻のお蕎麦が、週末と祝日限定で食べられる『そば処 龍の里やどみ』が2019年12月1日にオープン。休校中の弥富小学校校舎を活用し、地元一丸となった地域振興です。
スコンと抜けた空の下、弥富小学校の校庭をどんどん歩いて校舎の入口に着くと『そば処 龍の里やどみ』の看板が出迎えてくれました。さらに構内の廊下を進むと真っ白な暖簾が見えてきます。お蕎麦屋さんオープンのきっかけを、笑顔の素敵な代表の奥山 明さんにお聞きしました。
「きっかけは、平成30年度から萩市がスタートした、地域内それぞれの持ち味を活かした地域振興計画を作るという『夢プラン』に取り組もうとなったことです。いくつか発案はあったのですが、やはり20年来そばの花まつりで地域振興をしてきて好評だったこと、いつかそば飲食店を出したいと考えていたこともあり、最初はためしにやってみるつもりでした。それに伴って場所もいくつか候補があったのですが、弥富小学校の在校生が4人程になり休校が決定したことと重なり、その後の校舎の使い道を検討していく中で、地域の活動拠点として使いたい、いつかまた小学校を再開させたいという願いも込めて校舎の一部を使わせてもらうことになりました。」
コンセプトを伺うと。
弥富の土地で、食材・運営・雇用も全てを地元で回すという事。定年後の生き方として、みんなが楽しみながら生きがいとなるようなものになればと始めました。オープンしてもうすぐ1年の『そば処 龍の里やどみ』。発案から実際にお蕎麦屋さんをオープンされるまで、地域全体で意見を出し合いながら一歩一歩丁寧に進まれて来ました。弥富地域で生まれ育ち、2015年3月まで役場の職員として勤務されていた奥山さんを含んだ役員会の主要メンバー6人が集まり、今も月に1度は今後さらに良くしていく為の会議をされているそうです。
店名についてですが、『龍の里』の謂れ(いわれ)について教えてください。
萩ジオパーク(平成30年9月20日 日本ジオパーク認定。萩市、阿武町および山口市阿東地区。)内の弥富地区にある阿武火山群の火山のひとつ伊良尾山(いらおやま)が、火山活動をしていた約40万年前の噴火で、高さ1000m以上の噴煙柱とマグマがしぶきをあげてスコリア丘を作り、当時の田万川(たまがわ)を14kmも溶岩が流れました。その溶岩の流路が龍に似ていることから、龍が通った道と名付けられ地元では龍神伝説が語り継がれています。
龍神伝説で、萩ジオパークの地形や歴史にも興味が湧いてきたところで、タイミングよく奥山さんがおっしゃいました。
『龍の里 やどみ』へお蕎麦を食べに訪ねていただいたら『イラオ火山灰層観察施設』『道永の滝』『畳ヶ淵』『猿屋の瀧』『龍鱗郷』『上の原台地』など、萩ジオパークの名所も楽しんでいただきたい。
お話を踏まえて見ると、畳ヶ淵(昭和59年に山口県自然百選に指定。)の柱状節理が龍の鱗に見えてきます。
肝心のお蕎麦のお話を聞かせてください。まず栽培について教えてください。
そば栽培は25年ほど前に、お米代わりに栽培する転作作物として始まりました。栽培が比較的省力的であったこと等からそばを選びました。現在は弥富そば生産組合(35人)で約15haを栽培しており、県内では1番大きい産地になっています。『会津のかおり』という白い花のそばを栽培しており、8月下旬に播種(はしゅ)し、11月中旬頃に収穫を行います。イラオ火山の溶岩流のおかげで、この地域の土はミネラルが豊富で、品質の良いそばが収穫できます。
こだわりは?
お蕎麦は地元弥富のそば100%の石臼挽き手打ち10割そばです。伊良尾山湧水だけを加えて作っています。
そば打ち修業は、難しかったのではないでしょうか?
そば打ち担当の者が、大分県豊後高田市のそば道場へ修業に行きました。大分杵築「達磨」店主 高橋 邦弘名人からもご指導頂きました。修業に行く前と帰ってきてからのそばは全く違いましたね。一番人気の「そば定食」には、お蕎麦(かけ/ざる)、おにぎりと旬野菜の惣菜、煮卵などの小鉢にお漬物、甘味(そば寒天)がついています。さらに食事が終わりそうになった頃合いで蕎麦湯が出されます。
お蕎麦は味良し、風味良し、喉越し良しの三拍子揃っていて、市外や県外からもたくさんのお客様が足を運ばれているのも納得の美味しさです。また、これから12月にかけて新そばの季節。風味がさらに増すこの時期のお蕎麦をお見逃しなく。
小学校のテーブルとイスに座って、校庭を眺めながら食べるのもなかなか風情があります。ゆっくり寛ぎたい時は、畳の小上がりでどうぞ。
【店舗概要】
◆場所 萩市大字弥富下4083-1(萩市立弥富小学校(休校校舎))
◆営業日 土・日・祝の11:00~14:00
◆座席数 20席
◆TEL 08387-8-2044
詳しくは、
⇒食べる/そば処 龍の里やどみ
をご覧ください。
基本情報
会社名又は個人名 | そば処 竜の里やどみ |
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住所 | 〒759-3302 山口県萩市弥富下4083-1 |
電話番号 | 08387-8-2044 |
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