萩のつくり手 <第5回>
種なし皮ごとブドウがいっぱいの森の果樹園 「石川果樹園」 石川 朗(いしかわ あきら)さん

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石川果樹園

萩市東部の田万川地域にある観光果樹園「石川果樹園」。
日本海沿いの国道191号線より3kmばかり山の中にあり、果物の絵が描かれた案内看板を見ながら緑に囲まれた道を進んでいくと、森に囲まれた大きな果樹園にすぐにたどり着きます。
「お客様の、美味しいねの一言を大切に」をモットーに観光果樹園を経営する石川さんにお話を伺いました。

 

グレープフルーツの自由化で夏みかんの価格が下落。農業経営をするとは思っていなかった。」
石川さんのご出身は現在果樹園がある萩市上田万(かみたま)で、小学校、中学校を地元で過ごし、島根県益田市の益田農林高等学校に進学後、山口県防府市にある営農技術研修所(現在の山口県立農業大学校)に進まれたそうです。

今は観光果樹園ですが、もともとは石川さんのお父さんが兼業で水稲60aや夏みかんを120a程度で栽培していました。

「父が昭和38年に土地を造成して120aの夏みかん栽培に取り組んでいましたが、昭和45年のグレープフルーツの自由化を境に夏みかんの価格が安くなっていきました。農業は大変だ、儲からないというイメージがあり、高校生くらいの頃は自分が農業をやるという将来像は描きにくかったですね。」
と、もともとは農業経営を強く志してはいなかったことを教えて下さいました。

右が石川さん、左が阿座上さん

 

「千円札でいっぱいになったコンテナ箱を見て、観光果樹園をやりたいと思うようになったんです」
就農を考えていなかった石川さんに転機が訪れたのは、営農技術研修所時代に九州の観光果樹園に3カ月研修に行かれたときでした。

「当時、防府の営農技術研修所では無かったぶどうの巨峰を先進地の九州では栽培していました。お札でいっぱいになったコンテナを見て、やりかた次第で儲かるんだと思ったんです。」

このときに、巨峰栽培で儲かる農業を実践している九州の農業経営者に刺激を受け、石川さんは観光果樹園を始めることを決意します。

 

「果物が樹に実って、経営が軌道に乗るまでは、トラック運転手や工事現場での仕事をしながら一歩ずつ進んできました」
営農技術研修所で2年学んだあと、昭和49年に石川さんは観光果樹園を始めるために、ご自身でブルドーザーで造成を始めます。

「昭和49年、50年、56年、平成元年、5年と造成と果樹の苗木の栽植を少しずつ行い、経営を拡大してきました。営農技術研修所でもブルドーザーで造成したことがありましたから、すぐとりかかったんです。」

研修所時代の経験が観光果樹園を始めるにあたり役立ち、一歩ずつ進まれてきた石川さん。

しかし、果物は果実が出来るまでに数年かかります。

「ブドウだと本格的に収穫できるまでは5年くらいかかります。その間、土木工事の仕事、ガソリンスタンド、トラック運転手等をして生計をたててきました。トラックの運転手をしていたときは鮮魚を鳥取から博多まで運んでいたんですよ。経営を軌道に乗せ、今の形にするまでは、簡単ではなかったですし、努力が必要でした。」

と苦労しながら進んできたことをひとつひとつ教えて下さいました。

 

「土づくりを大事にしながら、種なし、皮ごとぶどうを増やしたい」
現在、ぶどう180a、みかん120a、栗 26aを経営している石川果樹園。
安全で環境にも配慮したブドウをつくるためエコ50という認証(化学農薬の使用成分回数・化学肥料の窒素量を県基準から50%以上低減)を取られています。

また、美味しいぶどうを作るためのこだわりを聞くと

「土が大切だと思っています。もみがら、発酵鶏糞、米ぬか、発酵菌を混ぜつくった自社製の堆肥を2年に1回は土に入れて、微生物の力を借りながら、根から元気なぶどうを栽培しています」

と、土づくりを大切にされていることを教えて下さいました。

ちょうど取材に伺ったときに、堆肥が置いてあり、発酵の熱で湯気が出ていました。

今後の挑戦したいことを聞くと

「これからは種なし、皮ごとのぶどうの時代です。現在はシャインマスカット、長野パープルが人気を博していますが、それだけでなく、バイオレットキング、マイハート、マスカットノアール、スカーレット、マスカサーティン、瀬戸ジャイアンツ、富士の輝などの品種もつくっていきたいです」

と意気込みを聞かせて頂きました。石川果樹園で色んなぶどうの品種を味わうのも楽しいかもしれませんね。

 

「加工品は素材の香りを大切に。マーマレードアワード日本大会で銅賞を取ったオリジナルマーマレードはパイ生地に塗って焼くのがおススメです。」
石川果樹園では、観光事業だけでなく、加工事業も10年ほどまえから始めています。

周年で従業員を雇用することが出来るように、事業の多角化の1つとして始められたそうです。

はじめは、石川さんの奥さんの久枝さんが趣味でつくっており評判がよかった栗の渋皮煮を売り出すことから始めました。それから順次、マーマレードや蜜煮等、種類も増やして、加工事業の売り上げも少しずつ上がっているそうです。

「栗の渋皮煮は加工品の中では一番人気です。栗の渋皮煮はバニラアイスに砕いて混ぜて食べると美味しくて、女性には是非食べて頂きたい一品です。まだまだ加工技術も初心者ですが、なるべく素材の香りを消さないようこれからも加工品づくりに取り組んでいきたいと思っています。」

と久枝さんが加工品づくりへの思いを語ってくれました。

石川果樹園のマーマレードは2019年05月に行われた世界マーマレードアワード日本大会で銅賞を受賞しているそうです。

このマーマレードは日本でも珍しい柑橘の清峰(せいほう)だけをつかった石川果樹園オリジナルのマーマレード。

「清峰は清見とミネオラという柑橘のかけ合わせで出来た品種で、肉質が軟らかくオレンジに似た香りがあり、1月中下旬に成熟する味の良い品種です。オレンジの香りがフルーツ感たっぷりの味に仕上がっています。これを、パイ生地に塗って焼くととっても美味しいんですよ」

と農家の贅沢なお菓子を教えて下さいました。

 

「若い人には循環する農業を志してほしい」
石川果樹園では現在8名(役員2名、従業員2名、パート4名)で経営されており、果樹園に賑やかな声が響いていました。

若い従業員の方もいらっしゃり、ほ場では栽培担当の阿座上部長が剪定をされていました。

ご自身で一歩ずつ経営を拡大してきた石川さんに、これから就農を目指す人へのメッセージを聞くと

「経営として循環する農業、つまり儲かる農業を目指してほしいと思います。」

と、シンプルですがとても大事なメッセージを頂きました。

石川果樹園ではぶどうのもぎとり(8月初旬~10月中旬)、柑橘の販売(1月中旬~4月上旬)をされています。是非、お越しになって、色んな種類のぶどうをご賞味ください。

ishikawa

 

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基本情報

会社名又は個人名 石川果樹園
住所 〒759-3111 山口県萩市上田万169
電話番号 08387-2-1991
URL https://www.e-fruit.co.jp/index.html
販売場所 石川果樹園、道の駅 ゆとりパークたまがわ、道の駅 萩往還(はぎおうかん)、道の駅 萩しーまーと、道の駅阿武町、ふれあいステーションDAIDO(大道)等

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