萩のつくり手 <第7回>
やるき・のんき・こんきが合言葉 ! 「EASY GOING FARM(のんきな農場)」 野稲 泰二(のいね たいじ)さん

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社会福祉法人 E.G.Fでは、主に「章姫(あきひめ)イチゴ」「アムスメロン/アールスメロン」「岸根栗(がんねぐり)」「はぜ掛け米」を生産しています。

まずは、社会福祉法人 E.G.F 事務局長 野稲 泰二(のいね たいじ)さんに施設の仕組みについてお話をお聞きしました。

社会福祉法人E.G.Fの成り立ちを教えてください。

前職から、現在の総合施設長と一緒に、重度の知的障がい者の生活支援に携わり、柿の栽培などを試みていました。生活支援に携わる中で、障がい者たちには、室内で淡々と作業を行うよりも、自然の中で伸び伸びと活動できることが望ましいと思えました。また、就職支援を行い6年間で約200人の就職に関わりましたが、その多くがドロップアウトする福祉の課題も見てました。その理由として最もあげられるのが賃金の問題です。障がい者は障がい年金を貰うことができるため、同じ立場で雇用されている人よりも、月額で受け取る金額が多くなります。そうすると障がい者よりも作業量が多く、サポートもしなければならないことが、頭では理解できても気持ちが持続できなくなります。最初は誰もが頑張れるように面倒見てくれますが、段々と障がい者が居ずらい雰囲気になり、結果ドロップアウトしてしまいます。また、当然ながら賃金を頂くので、障がい者にも賃金を頂くだけの成果が求められます。それらの課題解決をするために、障がい者の能力を活かすことで居場所を作り、それが社会に役立つことにつながることをずっと考えていました。その考えを祖父や父、そして一緒に働いていてくれているスタッフの協力があって、社会福祉法人E.G.Fを作ることができました。

創業時はどのような体制で始められましたか?

2010年にNPO法人として、グループホームと就労継続支援B型から開始しました。当時は利用者3人、スタッフは5、6人でした。会社として運営をしていくためにも、”山口県内のどんな障がい者でも受け入れよう”と決めて、通常なら難しいと判断される障がい者も受け入れました。スタッフの必死の努力もあって、評判が徐々に拡がり「山口県の最後の駆け込み寺」と認知されるまでになりました。通常は、2年以上ぐらいかかる社会福祉法人の認定を約1年6ヶ月で取得できたり、農林水産省がおこなっている「ディスカバー農山魚村(むら)の宝」で、全国から選定された27地区の中からさらに特別賞であるプロデュース賞を受賞することもできました。さらに、北は岩手県、南は奄美大島など日本全国から累計約140件の視察がありました。

素晴らしい実績ですね!福祉ではどのように関わっているのですか?

何事にも理由があります。根本の原因を理解して、決して諦めないという強い気持ちで向き合います。例えば、畑で竹を振り回す障がい者がいたら、職員がすぐに駆けつけて抱きしめるなどをします。そうすると、暴れていた人は謝ってきますが、それで終わりではありません。なぜなら障がい者の多くは”なぜ暴れてはいけないのか”をちゃんと教わったことがないんですね。そういうことから、本心で反省しているのではなく、”謝れば許される”というこれまでの経験から出る行動の可能性があります。そのため、その行動が適切ではないことを理解してもらうまで、何時間でも付き合います。そうすると、段々と間違った行動をしていたことに気づき、泣きながら本気で謝ってくれます。他にも、施設から逃げ出す子には、何時間でも後ろから見守りながらついて行ったこともありますよ。そうすることで、彼らの行動範囲を知ることができ、次回からの対応にも繋げられます。そのようにとことん向き合うことを実践しています。

お話をお伺いしているだけで、とても大変に感じ取れます。どうしてずっと続けてこれたのですか?

ここもまだまだ完成形ではないですが、福祉・地域・一次産業に関する相談がずっとあります。想像以上に大変なこともたくさんあるので、当然途中で辞めていくスタッフもいますが、私は止まったら終わりと考えているので続けられています。そんな理念に共感してくれたスタッフが残り、頑張ってくれています。

農業の仕事に集中できない場面も考えられますが、どのような取組みをおこなっていますか?

他人とのコミュニケーションが難しいことから、能力があっても一般就労が困難な人もいます。そういう人の中には、サヴァン症候群※のように何か一つのことが物凄く発達しているような人もいます。ここでもある人は、イチゴのハウス2棟分の7、8千本ある苺の苗の状態を、全て把握しているかのように、”○列の○番目のイチゴに追肥をお願いします”と伝えてくるから、実際に見てみると指摘の通りだったりします。これは特に特殊なケースですが、それ以外でも注意散漫な人には草を集めるような体を動かす仕事だったりと、障がい者の能力を見極めることがとても大切です。しかし、能力を見極めることができても、農業のことを知らないと作業を振り分けておこなうことができません。そのため、常に福祉と農業のどちらにもスペシャリストであることを意識しています。ただ単に、農業をやっているところに障がい者を当てはめるだけでは、農福連携にはなりません。また、障がい者も賃金をもらうという意味を理解する必要もあります。そのため、ずっと遊んでいるよりも、当然コツコツやる人が色々な面で向上します。障がい者には社会のルールや、責任と自由といったことも理解してもらうことも、ブレずに行っています。

※サヴァン症候群…知的障がいや自閉症などの発達障がい等のある人が、その障がいとは対照的に優れた能力・偉才を示すこと。

安定した経営をするための工夫を教えてください。

まずは障がい者の能力を見極めて組み合わせることからはじめて、少しづつ実務時間を増やしていく努力を行なっています。そして、経営的には作付け面積を増やして、収量を増やしていくことが必要になります。総合施設長の「この世に無駄なものはない」「無から有へ」という考えから、例えばイチゴなら規格外のイチゴを使ったジャムなどの加工品製造や、それまでは破棄していたヘタから肥料作りなどを考えたりしています。周囲にもいちご栽培をされている農家さんがいるため、その中からお客様に選ばれなければいけません。そのためブランディングとして、贈答用のギフトBOXの作成からスタートしました。高級感のあるギフトBOXに合うイチゴ作りを成功させて、広島の三越デパートで販売を行った際は、1箱5,000円で販売して完売したんです。

こだわりの栽培方法を教えていただけますか?

栽培方法も、独自で調べてから他県に実際に見に行き、教えてもらったことを取り入れています。イチゴの栽培では、葉っぱと実を必要な量だけ残すことで、収量は下がりますが実の大きな甘くて美味しいイチゴができます。また、他と違い一つの作業に多くの手をかけることもメリットになっています。それは現在の農業が抱える課題でもある~手数が足りていないことを補う~ことにも繋がっています。地域の農業で、手が足らない場面に障がい者が必要とされ、それが段々と理解されてくると、障がい者の自信にもつながります。

イチゴやメロンはどこで販売されていますか?

イチゴギフトBOXは200~300箱限定での直接販売と、通常のパック売りとして田万川(たまがわ)道の駅やイベントで販売しています。メロンも現在約2000玉を生産できていますが、どちらも供給が追いついていません。販売先のほとんどがリピーターのお客様であって、そこから口コミで広がっています。また、自社で毎年春と秋に収穫祭を開催して、地域の人が500人から600人ほど来られます。ゆっくりと過ごせるように座って食べながら出し物を見られる仕組みにして、自社の特産物・加工品の販売や、地域の出し物・神楽などが披露されます。もちろんみんなが大好きな餅まきやビンゴも行います。ビンゴの景品は、業者から提供していただいて、業者の名前をご来場者に紹介する。このように自社だけが得をするのではなくご来場者も、業者も、みんなが良くなることを意識しています。

将来の展望などを教えてください。

バイヤーが買い付けに来る時に、栽培したイチゴやメロンを障がい者が販売を決められるようになって欲しいと思います。そうすると障がい者の自信にも繋がって、居場所を作ったり地位向上に繋がると思うからです。

野稲さんにお話を伺った時は、ちょうど「章姫イチゴ」の季節(11月末から5月)でした。

「章姫イチゴ」は、一粒33g以上の大粒で「洗わずそのままパクッと♪安全安心の旨いイチゴ」がキャッチコピーの、有機栽培「わかば農法」を基本として栽培される特別なイチゴです。

地域の方からお借りした田万川の休耕田を利用して、土づくりからはじめてつくった農場に設置したハウスで、高設栽培と親株育苗で栽培されています。

担当職員の福永 潤さんと、イチゴリーダー大賀 荘司さんに、イチゴ作りの秘訣を伺いました。

「わかば農法」について教えてください。

はじめは「山口方式」で3年間取り組んでいましたが、思っていた成果がなかなか見られなかったので、他の土地に視野を広げてみることにしました。同じ中国地方で鳥取方式と呼ばれている「わかば農法」を是非取り入れたいと視察させていただき、試行錯誤しながら現在に至ります。「わかば農法」は、土にこだわりのある農法です。ちょっと驚かれるかもしれませんが、そのまま食べられる土を開発しています。というのも、作物は土の成分を吸収して育ちます。成長して実った物には土の成分がたっぷりとつまっています。土に添加物が混ざっているとできた作物にも添加物が入っています。「わかば農法」では有機土に一番のこだわりを持ってウィルスフリーの土をつくるために、現在も実験と記録の日々です。

他に大切なことはどんなことですか?

イチゴの健康を保つための水・光と、病気にならないための予防が大切です。なのでうちは観光農園はしていません。見学は可能ですが、ビニールハウスの中に入る時は、靴を履き替えていただいています。

「章姫イチゴ」は何といっても見た目のインパクトが強いと思うのですが、イチゴを大粒にするために、具体的にどのようなことをされているのですか?

ひとつのツルに3粒までとして、余分な果実は摘果しています。そのため収穫量は少なくなりますが、大きさも美味しさも3倍になります。

「章姫イチゴ」のPRをお願いします。

果肉が中まで柔らかく、大きくなっても中心が空洞にならず身がつまっている。香りも良く、うまみも強く、酸味のバランスが良いです。

「一つひとつの仕事が大事」とお話されたいちごリーダーの大賀さんはイチゴのスペシャリスト。「イチゴが収穫されるまで、苗を育てるのも、水をやるのも、太陽を浴びさせるのも、雑草を除くのも、みんなどれもとっても大事な手間です。」「本物を作ろう」という目標をもってスタートされたイチゴ栽培。「何かあればすぐにかけつけられるところに住んでいます。」と笑顔で教えて下さいました。いつもイチゴの事を第一に考えられておられます。その情熱が「章姫イチゴ」の美味しさと高い品質維持に繋がっているのですね。

担当職員の福永 潤さんと、イチゴリーダー大賀 荘司さん

のんきな農場で栽培された特選イチゴBOXのご紹介

「わかば農法」という特殊な農法で栽培された章姫イチゴです。
この農法では収穫量は1/3になりますが、甘さ・大きさは他の種類の3倍!選び抜かれた33g以上の果実だけが特選品となります。
(通常のイチゴは一粒約15g)
1箱 12粒入り 税抜き 2,500円 送料一律300円
配送期間 1月中旬~3月末

基本情報

会社名又は個人名 社会福祉法人 E.G.F
住所 〒759-3204 山口県萩市大字下小川1000番地
電話番号 08387-4-5838
URL http://e-g-f.jp/
販売場所 田万川 道の駅 / 萩市民病院 売店

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