萩のつくり手 <第34回>
「定置網漁業」② 片山 翔希(かたやま しょうき)さん

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定置部で最年少の漁師、片山翔希さんは広島県出身。瀬戸内海で育ちましたが、「きれいな日本海で漁師をしたい」と思い、萩へやってきました。実際に漁をしてみると、やはり日本海の美しさに魅了されたそうです。

おしゃれ好きで、美容男子という一面も持つ片山さん。スキンケアに詳しく、ヘアスタイルも個性的。金髪にしたり、ブルーにしたり楽しんでいます。休日は、年齢の近い先輩とゲームをしたり、好きな古着を着て出かけたり、仕事もプライベートも満喫の日々。そんな片山さんに、漁師としての思いや萩での暮らしについて伺いました。

 

―ご出身はどちらで、どんな幼少期を過ごされましたか?

自分は平成16年に広島県で生まれ、育ちました。わんぱくな子どもで、体を動かすのが大好きでした。なので将来は体を使う仕事をしたいと思っていて、魚も好きだったので「漁師かな」と考えるようになりました。

 

―学生時代に取り組んだことは? 今の仕事につながるようなことはありますか?

小学生のときはソフトボール、中学ではテニス、高校ではバドミントンをやっていました。肩が強いのが自慢です。通っていたのは定時制普通科の夜間学校で、バドミントンでは定時制の全国大会にも出場しました。運動部で体力を鍛えられたことが、今の定置網漁の力仕事にも役立っています。水泳では強化選手に選ばれたこともありましたが、夏休みに練習に行くのが億劫でやめてしまいました(笑)。

 

―他にやりたい仕事はなかったのですか?

水族館の飼育員になりたいと思っていたことがあります。生き物を飼育するのが好きで、実家では犬を飼っていました。今はフクロモモンガを飼っています。魚も好きなので、水族館の飼育員にも憧れました。ペンギンの飼育とかショーの仕事なども、いつかやってみたいな、と思っています。結局、やりたいことは魚に関わる仕事なんですよね。

 

―漁師になるきっかけは?

就漁者フェアに参加したことです。瀬戸内の離島で漁業体験もしましたが、「どうせやるなら、きれいな日本海がいい」と思い、萩を選びました。実際に来てみて、日本海の美しさを改めて感じています。高校卒業前の3月から萩に来て漁に出始め、高校の卒業式の時だけ広島に戻って出席しました。

 

―一人暮らしはどうですか?

4人きょうだいで、実家では自分の部屋がなかったので、自分の部屋にずっと憧れていました。一人暮らしはのびのび過ごせて快適です。今は越ケ浜で一軒家に住んでいます。近所の人たちもいい人ばかりで住み心地はとてもいいですよ。萩にない店に行きたくなった時は、1時間かけて遠出して、小旅行気分で楽しんでいます。

 

―休日は何をしていますか?

フクロモモンガの世話をしたり、先輩の高嶋さんと通話しながらゲームをしたりしています。ほとんどの時間を一緒に過ごしていますね。とても仲良しです。

 

―好きな魚は?

サーモンが大好きです。若い世代には人気ですよね。定置網漁で獲れる魚では、やっぱりマグロは絶品です。ほかにもサワラ、イサキ、甘鯛、フグ、イカなど、日本海ならではの魚は本当においしいです。獲れたてがうまい! これは漁師の特権ですね。

 

 ―仕事をする上で大切にしていることは?

若手として、力仕事や雑用は積極的に引き受けています。高齢の先輩が多いので、自分が動かないといけないと思っています。昔ながらのやり方も大切ですが、新しい考え方も取り入れて、工夫して効率化していきたいです。将来、自分が漁労長になったら、いろいろと改善していきたいと思っています。

 

―これからチャレンジしたいことは?

2年目で船舶免許を取得し、今年の5月に船を譲り受けました。定置網と両立しながら、自分の船で漁をして個人でも稼げるようになりたいです。生ワカメが好きな人が周りに多いので、まずはワカメを採りたいです。実家にも送ってあげようと思っています。

 

―仕事の魅力ややりがいは?

定置網では本当に多くの魚に出会えます。大きなウミガメがかかったこともありました。もちろん海に返しますが、水族館でもあんなに近くで見る機会はありません。この仕事だからこそ体験できることが多く、それが一番の魅力ですね。

 

―大変なことはありますか?

船酔いは心配でしたが、意外と平気でした。ただ、漁のときにアジやサバを氷水に入れると暴れてウロコや水が飛んでくるのは、最初はキツかったですね。網仕事も大変ですが、慣れてきました。

 

―定置網漁の魚はどこで食べられますか?

「萩しーまーと」で販売されることもありますが、多くは仲買を通してスーパーや市場に流れ、東京にも送られます。クジラが獲れたときは、萩のスーパーに「萩の定置網で獲れたクジラ」というポップが置かれて販売されていました。

魚を生きている状態で捕まえるは結構難しいのですが、定置網ではそれができるので、下関の水族館「海響館」から、フグやマンボウなど生きた魚の引き取り依頼が来ることもあります。自分たちの網にかかった魚が、水族館で展示されているかもしれません。休日に高嶋さんと一緒に海響館に行こうと話しているところです。

 

楽しいお話をありがとうございました! 若い力の可能性を感じました。今後のご活躍を応援しています。

 

最後に、山口県漁協越ヶ浜支店の山下隼人支店長に伺った「漁師になる方法」についてご紹介します。

漁業といっても方法はさまざまで、地域では特に延縄(はえなわ)漁の後継者不足が課題となっています。延縄漁は一人では行えず、船単位で船員を募集しているそうです。定置網漁については、欠員が出た際に募集があり、就漁者フェアや萩市のホームページで情報が公開されることもあります。

現在、漁師は男性が中心ですが、船の設備(着替えやトイレなど)の関係で女性にはハードルが高い一面もあります。ただし、定置網漁は海に出ている時間が比較的短く、力仕事も多くないため、女性にも取り組みやすい環境だといいます。

また、漁業は「収入に振れ幅のある仕事」でもあります。一晩で700万円の売り上げを上げることもあれば、数万円にとどまることもある。その大きな振れ幅こそが、この仕事の醍醐味であり、おもしろさなのかもしれません。

 

基本情報

会社名又は個人名 山口県漁業協同組合 越ヶ浜支店
住所 山口県萩市大字椿東6446-5
電話番号 0838-25-0231
URL https://www.jf-ymg.or.jp/about/store.html
販売場所 道の駅萩しーまーと、山口県内外のスーパー等

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