萩のつくり手 <第2回>
火山灰由来の黒ボク土で、甘くやわらかい千石台(せんごくだい)だいこんを栽培する「平野ファーム」 平野 喜代治(ひらの きよじ)さん

関連食材
  • 千石台だいこん
  • その他
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平野ファーム/平野 喜代治さん

萩市のむつみ地域にある千石台は、熔岩が噴出した玄武岩の台地で、徳川幕府時代に毛利藩によって開墾され、穀物が千石とれていたことから、千石台と呼ばるようになったと言い伝えられています。
千石台は標高が300m~500mのところにあり、冷涼な気候を生かしただいこん等の野菜栽培が行われており、若手経営者も活躍されています。

今回は、千石台の広大な畑でだいこんをはじめとした露地野菜を栽培する平野ファームの平野喜代治さんを訪ねました。

 

平野ファームは何を栽培しているのですか?

「現在はだいこん5ha、ニンジン1ha、バレイショ20a、キャベツ20aを栽培しています。
だいこんは主に農協に出荷していますが、その他に萩市椿にあるファーマーズマーケットふれあいらんど萩でも販売しています。

最近では、毎月市内で開催されている萩マルシェで出店するときもあり、直接お客さんと話をしながら販売することも楽しいなと思うようになりました。美味しかったよ!って直接言ってもらえる時は本当に嬉しいですね。」

千石台(せんごくだい)はだいこん栽培で有名ですが、いつ種を蒔いて、いつ収穫するのですか?特徴なども教えてください。

「千石台では春播きと夏播きの2つの栽培時期があります。春播きは種を2月~5月に播いて、それを5月中旬から7月にかけて収穫していきます。夏播きは7月から9月播きでそれを9月中旬~11月に収穫していきます。

一般には知られていませんが、千石台だいこんは鮮度を保つために夜間に収穫しています。収穫のときに、日本海の漁火がここから見えて、漁師さんも頑張ってるなぁなんて思います。晴れた夜は流れ星もだいこん畑でたくさん見れますよ。

千石台だいこんは、火山灰由来の黒ボク土と呼ばれる黒い土で育っています。黒ボク土は、透水性が良く柔らかいので根がぐんぐん伸びて、おいしい野菜が出来るんです。加えて、標高が高く涼しいので、だいこんは甘くなります。肉質は柔らかいです。お勧めの食べ方は生食。おろしやサラダは素材の味を楽しめます。」

取材に伺った10月の時期は、3人で4時間かけて毎晩3000本~4000本のだいこんを収穫しているそうです。
土を触ってみると、温かでやわらかく、きめのこまかい黒い土を簡単に手のひらにとることが出来ました。

平野さんはの農業をはじめるきっかけは何だったんですか?

「千石台で生まれ育ち、両親もだいこん農家でしたので小さいころから農業には関わっていました。小中学校の頃は朝4:00から収穫を手伝って片道4㎞かけて学校に行っていました。今考えてもけっこうタフな生活をしてたなあと思います(笑)

中学校の頃は車が好きだったので農業を継ぐということは考えていませんでした。また、県外へ出てみたかったというのもあり、中学校卒業後は静岡県の高校へ進みました。高校は普通科でしたが、農業の科目もあり、お米、野菜、それからお茶の栽培と、ひととおり勉強しました。

高校卒業後10年ほど静岡にいて農業とは疎遠になっていましたが、時々千石台に帰ってくるたびに、後継ぎがいない話を聞いたり、耕作されなくなる畑を見て、故郷に少し寂しさみたいなものを感じていましたし、これだけの産地を潰したくないという思いも強くなってきました。もともと農業に小さいころから慣れ親しんできましたし、きついけど面白い仕事だと思っていましたので、色々考えた結果、32歳の頃に就農を決意したんです。
ちょうど同じくらいの時期に、若い人たちが千石台に帰ってきたので賑やかになってよかったと思っています。」

野菜栽培におけるこだわりを教えてください。

「美味しい野菜を育てるには土づくりが大切と思っていて、化学肥料を少なくして、堆肥を入れて自然な味になるようにしています。最近は緑肥と呼ばれる技術を導入しています。これは、野菜を栽培する前に麦やベッチと呼ばれる豆科の植物を栽培し、緑色のまま土の中にすき込み、土を柔らかくしたり、空気中の窒素を土の中に肥料としてとりこんだりする技術です。実際やってみると土がふかふかし、臭みのないよい香りの土になっていると実感しています。」

現在挑戦していることがあれば教えてください。

「1つは気候に対応した野菜の選定です。最近は夏が暑すぎたり、雨が降り続いたりと異常気象が毎年のように続いてかなり苦労しています。

暑さに負けてだいこんが太らなかったり、形がいびつになったりすることもあれば、雨が降り続いて病気が出ることもあります。

だから暑さや病気に強い品種を試しています。もちろん、味の面からも品種を選んでいます。だいこんはなるべく辛みの少なくみずみずしいものを選んでいます。」

今後はどんなことに挑戦していきたいですか?

「だいこんの収穫機を入れて、省力化と経営面積の拡大を進めたいと思っています。だいこんは収穫に一番時間がかかります。収穫機を入れれば、広い畑では、手で抜くより作業が速いと思います。そうすれば、収穫の負担が大きく、だいこん栽培を諦めていた農業者も続けられる可能性がありますし、またはそういった農業者から収穫作業を若い農業者が請け負うことも出来、産地が維持出来ます。狭い農地だと収穫機を出し入れするのに時間がかかり、まだ残された課題もありますが、ひとつひとつクリアしていきたい。こういったことを進め、安定的に計画的に出荷できる体制を整えて、市場のニーズに応え、収益性も上げていきたいと思っています。そうすれば、千石台で農業をしたい若い人も増えるのではないかと。

それから個人的には他の品目にも挑戦したいです。白菜やキャベツ等の葉物野菜も千石台の冷涼な気象条件に合っているのではないかと思っています。」

野菜栽培でお忙しいと思いますが、休日はどんなことをしていますか?

「雨降りの日は作業が出来ないので休みになります。車が好きなので、ドライブしてホームセンター巡りをしています(笑)。
また、計画的に作業を終わらせて旅行に行ったりもしています。」

フカフカの土で栽培した平野さんの野菜は下記の場所で購入できます。是非ご賞味下さい。

 

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基本情報

会社名又は個人名 平野ファーム (代表:平野喜代治)
住所
電話番号
URL
販売場所 市内スーパー、ファーマーズマーケットふれあいらんど萩、萩マルシェ

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